免責事項
本記事は筆者がうつ病を経験した際の個人的な体験談です。医学的・専門的なアドバイスを目的としたものではありません。うつ病などの症状が疑われる場合や強い絶望感を抱いている場合は、必ず医師や専門家に相談してください。自傷行為や自殺を助長する意図は一切なく、少しでも同じように悩む方の助けになればという思いで書いています。つらいときは一人で抱え込まず、相談機関を活用しましょう。
いのちの電話:0120-783-556(全国共通・厚生労働省公式サイト掲載)
よりそいホットライン:0120-279-338(24時間対応)
その他:各自治体の保健所・精神保健福祉センター、カウンセリング窓口など
(詳しくは厚生労働省「こころの健康を守ろう」ページ:https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ をご参照ください)
はじめに
私がうつ病と診断されたのは、平成29年後半のことでした。当初は「会社に行きたくない」という気持ちが強くなり、仕事をこなせない自分を責め続けた結果、出勤中の車の中で「もう消えてしまいたい」と思うほど追い詰められていました。振り返ると、本当に危うい状況だったと思います。
そこからどのようにうつ病と向き合い、セルフケアを試してきたのか。うまくいった方法だけでなく、続かなかったものも含めて正直にお話しします。同じような状況にいる方がいれば、何かの参考になれば嬉しいです。
仕事の環境が引き金に
私は趣味と直結した仕事をしており、アルバイト時代から4年以上働いて契約社員になれたときは本当に嬉しかったです。しかし、そのタイミングで部署異動があり、業務量の増加に加えて上司の態度も変化。質問しても苛立った返答しか返ってこず、「お前なんて知らん」と突き放されるようになりました。
「自分が仕事をこなせないせいで怒られる」と自分を責めるばかりの日々。やがては出勤自体が苦痛になり、心身ともに限界を迎えていたのだと思います。
助けを求められなかった理由
当時、同棲中の彼女(現在の妻)がいましたが、家族や友人にも詳しい状況を打ち明けることはできませんでした。人生で誰かに本気で助けを求めた経験がほとんどなく、「どう助けを求めればいいのか分からない」という状態だったのです。
受診を決意したきっかけ
そんな状態でも、私が病院に行く決断をしたのは「彼女を守りたい」という思いでした。どん底の中でも「生きて彼女を支えなければ」という気持ちがわずかに残っていて、それが病院へ向かう後押しになりました。
診察で「うつ病です」と言われたときは、ある種の納得感がありました。しかし、医師から「あなたは何も悪くない」「自分をそんなに責めないで」と言われた瞬間、張りつめていたものが一気に崩れ、涙が止まらなかったのを覚えています。
うつ病と向き合うために試したこと
1. 仕事の調整と退職
医師からは「まずは休むこと、できれば退職を考えてほしい」と勧められましたが、私はすぐに踏み切れませんでした。店長に相談して一時的にアルバイト時代の部署に戻るなど対応してもらいましたが、結局元の部署に戻る話が出てきたタイミングで、仕事を辞める道を選びました。
退職を決断したときは悔しさもありましたが、「これから生活していけるのか」という不安がより大きかったのを覚えています。
2. 仕事を転々とする日々
退職後は1か月ほど休んだ後、すぐに仕事探しを始めました。引っ越しで家賃が上がっており、働かないと生活が成り立たなかったからです。
しかし、派遣や建設関係など、5〜6社の仕事を転々とすることになりました。うつ病の影響で突発的な欠勤が月に何度も発生してしまい、そのたびに解雇につながってしまったのです。長くても1年以内に辞めざるを得ない状況が続き、経済面でも精神面でも不安定な日々が続きました。
3. 生活が成り立たない中での選択
この時期は生活水準を下げられず、借金や親からの援助に頼る形となってしまいました。「このままではいけない」と思っても、具体的にどうすればいいのか分からず、手当たり次第に仕事をする状態。今振り返ると、間違いだらけの選択だったかもしれませんが、あのときは精一杯だったのだと思います。
4. 趣味の釣りが心の支えに
そんな混乱した生活の中でも、唯一の救いだったのが趣味の「釣り」でした。釣りをしている間だけは雑念が消え、心が軽くなる瞬間があったのです。それは私にとって大きな息抜きであり、自分を保つ手段でもありました。
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生活を立て直すきっかけ
支援制度の活用
転機となったのは、「生活困窮者相談支援制度」に相談したことでした。そこで、精神疾患を持つ人の社会復帰支援や借金の債務整理、生活を立て直すアドバイスなど、多くのサポートを受けることができました。
その後、彼女の調べもあって精神障害者手帳や障害年金の受給につなげることができ、生活の安定に大きく寄与しました。
彼女(妻)との関係の変化
私のどん底の生活が続く中、彼女自身もうつ状態になってしまうほど追い詰められていました。しかし、同じような苦しみを体験したことで、お互いの状態を理解し合えるようになり、少しずつ支え合いながら回復への道を模索するように。そうした相互理解が、結果的に関係を深めるきっかけにもなった気がします。
今、うつ病と向き合っている人、または周りにうつ病の方がいる人へ
うつ病はれっきとした病気
放っておくと悪化する恐れがあります。自分が当事者の場合はもちろん、家族や友人がうつ病の可能性を感じたら、早めに専門医の診察を受けるよう促しましょう。早期発見・治療は回復に向けて大切な一歩です。
地域の支援制度や国の制度の活用
精神障害者手帳や障害年金など、活用できる制度はたくさんあります。「助けを借りるのは恥ずかしい」と思わず、積極的に使ってほしい制度です。身近な人をサポートするときに、これらの制度を調べて教えてあげるのも支えの一つになります。
一人じゃないと思えることが支えになる
本人はもちろん、家族や友人も「孤立させない」「話を聞く」姿勢を忘れないでください。「いつでも頼っていいよ」の一言が、大きな安心につながることもあります。
無理をしない・責めすぎない
「仕事を休みたい」「辞めたい」と感じるのは、決して甘えではありません。心身が限界を迎えているサインです。できないことを責めるよりも「少し休もう」「好きなことをしよう」と自分をいたわる時間を作ってみてください。
周りの方も、「頑張れ」とプレッシャーをかけるより「大丈夫」「無理しないで」と声をかけてあげることが大切です。
注意
この記事はあくまでも筆者の体験を共有する目的で執筆しています。うつ病の治療には専門家の診断とサポートが不可欠です。症状が深刻な場合は、迷わず医療機関やカウンセリング、そして必要に応じて支援制度の活用を検討してください。
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